wpX Speed徹底比較:WordPress専用サーバーで表示速度は本当に変わるか
wpX Speedの料金・速度・機能を他社サーバーと比較検証。WordPress専用設計の実力と制限事項を、エンジニア視点で正直にレビュー。
エンジニアのゆとです。
WordPressの表示速度、気にしてる?——Core Web Vitalsがランキング要因に組み込まれて以降、「サーバー変えたらLCPが改善した」みたいな話をよく見かけるようになった。プラグインやテーマの最適化ももちろん大事だけど、結局のところサーバー側のレスポンスが遅ければ限界がある。
今回検証するのは、エックスサーバー株式会社が運営するwpX Speed。WordPress専用を謳うマネージドサーバーで、「WordPressに特化しているから速い」というのがセールスポイントだ。じゃあ実際にどれくらい変わるのか、料金は見合うのか、汎用サーバーとの違いはどこにあるのか。掘り下げてみた。
※ 本記事にはプロモーションが含まれています。記事内リンクから申し込みがあった場合、筆者に紹介報酬が発生します。内容は独自調査に基づいており、報酬によって評価が変わることはありません。 #PR
wpX Speedとは何か
wpX Speedは、エックスサーバー株式会社が提供するWordPress専用のクラウド型レンタルサーバー。2019年のリリース以降、WordPressのパフォーマンスに振り切ったサービスとして一定のポジションを確立している。
通常の共用サーバーとの最大の違いは、KUSANAGI(WordPress高速化エンジン)を独自カスタムした環境が標準で組み込まれている点だ。KUSANAGIはWordPress実行に特化したチューニングを施したミドルウェアスタックで、nginx + PHP-FPM + MariaDBの構成を最適化している。これが「素のWordPressを置くだけで速い」と言われる根拠になっている。
もう1つの特徴は、オートスケール機能。アクセスが急増した際にリソースを自動で拡張してくれる。バズった記事がサーバーダウンで読めない、みたいな悲劇を回避できるわけだ。リソースの上限はプランによって異なるが、少なくとも固定リソースの共用サーバーよりは突発的なトラフィックに強い。
wpX Speed 公式サイトはこちら料金プランの全体像
wpX Speedはリソース確保型のプラン構成で、vCPUとメモリの割り当てで差別化されている。
| プラン | 月額(税込) | vCPU | メモリ | SSD | 目安PV/月 |
|---|---|---|---|---|---|
| W1 | 2,200円 | 2コア | 2GB | 200GB | 〜50万 |
| W2 | 4,400円 | 3コア | 4GB | 300GB | 〜100万 |
| W3 | 8,800円 | 4コア | 8GB | 400GB | 〜200万 |
| W4 | 13,200円 | 5コア | 12GB | 500GB | 〜500万 |
| W5 | 22,000円 | 6コア | 16GB | 700GB | 〜1,000万 |
初期費用は無料。2時間単位の従量課金にも対応しているので、「試しに1日使ってみる」が100円以下でできる。これは地味にありがたい。他社サーバーだと、契約して環境構築して移行してみないと体感できないことが多いので。
W1プランの月額2,200円は、同スペック帯の汎用サーバーと比べるとやや高めに見える。ただし、KUSANAGIのチューニング済み環境、自動バックアップ、無料SSL、オートスケールが全部込みの価格だと考えれば、個別に設定する手間と比較して妥当なラインだろう。
他社サーバーとの比較
WordPress向けのサーバー選定で候補に上がりやすいサービスと比較してみる。
| 項目 | wpX Speed W1 | エックスサーバー スタンダード | ConoHa WING ベーシック | ロリポップ! ハイスピード |
|---|---|---|---|---|
| 月額(税込) | 2,200円 | 1,100円 | 1,452円 | 825円 |
| vCPU | 2コア(確保) | 6コア(共用) | 6コア(共用) | 非公開(共用) |
| メモリ | 2GB(確保) | 8GB(共用) | 8GB(共用) | 非公開(共用) |
| SSD | 200GB | 500GB | 300GB | 500GB |
| KUSANAGI | ○(カスタム版) | ○(Xアクセラレータ) | ×(WEXAL有) | ×(LiteSpeed) |
| オートスケール | ○ | × | × | × |
| WordPress以外 | × | ○ | ○ | ○ |
ここで注目してほしいのは「確保」と「共用」の違いだ。エックスサーバーやConoHa WINGの「6コア・8GB」は、同じ物理サーバー上の他ユーザーとリソースを共有している。つまり隣のサイトがバズって重くなれば、自分のサイトも影響を受ける可能性がある。wpX Speedの「2コア・2GB」はリソース確保型なので、スペック上は少なく見えても実効性能は安定している。
ただし、wpX SpeedはWordPress以外のサイトやアプリケーションは動かせない。静的サイトやPythonアプリを同じサーバーで動かしたい、という使い方は想定されていない。WordPressだけに集中するか、別サーバーを用意するかの判断が必要になる。
速度面で実際に差が出るポイント
「WordPress専用だから速い」だけでは抽象的すぎるので、具体的にどこで差がつくのか分解してみる。
まず、TTFB(Time to First Byte)。サーバーがリクエストを受けてからレスポンスを返し始めるまでの時間で、これはサーバー側のPHP処理速度とデータベースのクエリ速度に直結する。wpX Speedが搭載するKUSANAGI環境では、PHPのOPcacheチューニングやMariaDBのクエリキャッシュが標準で最適化されているため、ノーチューニングでもTTFBが200ms以下に収まるケースが多い。汎用サーバーだとWordPressのデフォルト状態では400-600ms程度になることも珍しくない。
次に、キャッシュ機構。wpX SpeedにはWordPress用のページキャッシュが組み込まれていて、W3 Total CacheやWP Super Cacheといったキャッシュプラグインを入れなくても高速表示が可能だ。プラグインの競合でサイトが壊れるリスクがゼロになるのは、運用面で大きなメリットだと思う。
HTTP/2対応、Brotli圧縮、無料CDN(国内拠点)も標準装備。このあたりは最近の高速サーバーなら珍しくないが、全部デフォルトで有効なのはありがたい。
エンジニアが気になる技術仕様
ここからは少し玄人向けの話。
SSH接続は可能で、WP-CLIも利用できる。ステージング環境もワンクリックで作れるので、テーマやプラグインの更新を本番に反映する前にテストできる。この「ステージング → 本番反映」のフローがコンパネから完結するのは、WordPressの運用としてはかなり実用的だ。
PHPバージョンは8.x系に対応しており、管理画面から切り替え可能。MariaDBのバージョンはサービス側で管理されるため、ユーザーが個別にチューニングすることはできない。my.cnfを直接いじりたいタイプのエンジニアには物足りないかもしれないが、マネージドサービスとしては妥当な範囲だ。
REST APIやGraphQLのエンドポイントはWordPress側の機能なので、wpX Speed上でも普通に使える。ヘッドレスWordPressの構成も技術的には可能だ。ただし、同一サーバー上でNext.jsやNuxtを動かすことはできないので、フロントエンドは別途ホスティングする形になる。
自動バックアップは過去14日分が保持される。復元は管理画面から実行可能。wp-cron.phpの実行間隔など細かい挙動はサービス側で最適化されているので、cronジョブの設定で悩むことは基本的にない。
一点注意なのは、マルチサイト(WordPress Multisite)は非対応であること。複数サイトを1つのWordPressインストールで管理している場合は移行できない。サイトごとに個別のWordPressインストールとして管理する必要がある。
オートスケールの実力
wpX Speedのオートスケール機能について、もう少し踏み込む。
オートスケールは、CPU・メモリ使用率が一定の閾値を超えた場合に、上位プランのリソースを一時的に割り当てる仕組み。アクセスが落ち着けば自動で元に戻る。ただし、スケールアップ時の追加料金は上位プランとの差額分が時間単位で発生するので、無制限に使えるわけではない。
つまり「月額2,200円のW1プランだけど、バズった3時間だけW3相当のリソースが使われて、その分の差額が請求される」という形だ。これは従量課金を嫌う人には注意点だが、サーバーダウンよりはるかにマシだろう。上限金額の設定も可能なので、予算管理は問題ない。
この仕組みはAWSのAuto Scalingほど柔軟ではないが、レンタルサーバーの枠組みの中ではかなり先進的だ。固定リソースの共用サーバーでは絶対にできない芸当なので、アクセスの変動が大きいメディアサイトやアフィリエイトサイトには魅力的な機能だと思う。
wpX Speed 公式サイトはこちら正直に言うデメリット
良い点ばかり書いても判断材料にならないので、気になる点を挙げる。
- WordPress以外の用途には使えない。HTMLサイトやLaravelアプリを同居させることは不可能
- W1プラン(2,200円)は、純粋な価格だけで見ると割高。ロリポップ!のハイスピードプランなら825円で始められる
- SSD容量200GB(W1)は昨今の基準では少なめ。画像が多いサイトだと早い段階で容量が気になる
- 管理画面は独自仕様で、cPanelやPleskに慣れた人には最初戸惑うかもしれない
- メールサーバー機能がない。独自ドメインのメールアドレスが必要なら、別途メールサーバーを用意する必要がある
特にメールサーバー非搭載は盲点になりやすい。エックスサーバーやConoHa WINGにはメール機能が付いているので、移行する際に「あれ、メールどうしよう」となるケースがある。Google WorkspaceやZoho Mailなどの外部メールサービスで対応するのが現実的だ。
どんなサイト・用途にフィットするか
wpX Speedが向いているのは、こんなケースだ。
- WordPressサイトの表示速度をサーバー側から根本的に改善したい
- アクセスの波が激しいメディアサイトやブログを運営している
- キャッシュプラグインの設定や競合に疲れた(サーバー側で完結させたい)
- Core Web Vitalsのスコアを確実に上げたい
- ステージング環境を気軽に使いたい
逆に向いていないのは、
- WordPressと一緒にHTMLサイトやWebアプリも動かしたい(→ エックスサーバー / ConoHa WING)
- とにかくコストを最小化したい(→ ロリポップ! / さくらのレンタルサーバ)
- メールサーバーも同じ契約内で欲しい(→ エックスサーバー / ConoHa WING)
- マルチサイト構成でWordPressを運用している(→ VPS / AWS)
まとめ
wpX Speedは、「WordPress専用」という割り切りによって速度と運用の手軽さを両立させたサーバーだ。KUSANAGIカスタム環境、リソース確保型のプラン、オートスケール——このあたりが汎用サーバーとの差別化ポイントになる。
W1プランの月額2,200円は共用サーバーと比べると安くはないが、キャッシュプラグインの調整から解放される、ステージング環境が使える、突発的なアクセスにも対応できる、という運用メリットを考えると十分にペイする投資だと思う。
エックスサーバーと同じ会社が運営しているので、インフラの信頼性やサポート体制については安心感がある。2時間単位の従量課金で気軽に試せるのもいい。まずはW1プランで自分のサイトを移行してみて、体感速度の変化を確かめてみるのが一番手っ取り早い。
#PR