Deel vs Remote 徹底比較 2026——日本企業・フリーランスが選ぶべきはどちら?
DeelとRemoteのEOR料金・デポジット・日本対応・コントラクター管理を徹底比較。$599で横並びに見える料金の裏側と、日本の社会保険込みの真のコスト試算、フリーランス受け取り側の視点も含めて整理。2026年最新買収情報含む。
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エンジニアのゆとです。
先日、知人のスタートアップCFOから連絡があった。「Deelで見積もりを出してもらったんだけど、RemoteにもEORサービスがあって、どっちがいいか迷っている」という話だった。
「料金どっちが安いですか」と聞かれたので「どっちも$599/月ですよ」と答えたら、「じゃあ同じじゃないですか」と返ってきた。
そうじゃない。全然そうじゃないんだけど、これを一言で説明するのが難しくて、気づいたら30分話していた。
EOR料金の数字だけ見ると確かに横並びだ。でも、デポジットの有無・日本対応の実態・コントラクター料金の差・2026年の買収による機能の方向性——これらを並べると、選択肢としてはかなり異なる2つのサービスになる。
この記事はそのときの会話を整理したもの。「どちらが優れているか」を決めるのが目的ではなくて、「自社の状況にどちらが合うか」を判断できるようにすることが目的です。
結論を先に: DeelとRemoteの使い分け早見表
| ケース | 向いているサービス |
|---|---|
| 初期費用(デポジット)を抑えて始めたい | Remote(デポジット不要) |
| EOR対応国を最大化したい(150ヵ国) | Deel |
| コントラクター管理を安く始めたい | Remote($29/月 vs Deelの$49/月) |
| Global Payrollを透明な料金で使いたい | Remote($29/月〜、Deelは要問い合わせ) |
| 外部ツール連携が多数必要 | Deel(300以上 vs Remoteの50以上) |
| 将来的にIT資産管理も統合したい | Deel(Sastrify買収で強化) |
| 経費管理・法人カードも一元化したい | Remote(Atlas買収で強化) |
| 欧米中心の採用でコスト最小化したい | Remote(年間$599で同額、デポジット差でRemoteが有利) |
早見表はこのとおりだが、背景を理解していないと判断が難しい部分がある。以下でひとつずつ説明する。
EOR料金の比較——$599で横並びに見えて、そうじゃない理由
EOR(Employer of Record:雇用主代行)の年間契約料金は、DeelもRemoteも $599/employee/月。数字だけ見るとまったく同じで比較する意味がないように見える。
ここに2つの落とし穴がある。
落とし穴①: 月次契約の料金が違う
年間契約(12ヵ月コミット)ではなく、まず短期で試したい場合の料金:
- Deel: 公式サイトには月次EOR料金の記載なし(要問い合わせ)
- Remote: $699/employee/月(年間契約より月$100高い)
「最初は1〜2名だけ試して、ダメだったら撤退したい」という中小企業やスタートアップにとって、月次契約の選択肢が明確にあるかどうかは重要だ。RemoteはWebサイト上で$699という数字を出しているが、Deel側は営業と話さないと月次の実態が見えない。
落とし穴②: デポジットの有無(これが本題)
DeelはEOR契約開始時に月額費用の1〜1.5ヶ月分相当のデポジットを求める。Remoteは「zero deposit, zero setup, zero offboarding fees」を明言しており、デポジットは不要。
この差を具体的な金額にすると:
1名採用の場合:
- Deel: $599〜$898.5(約9万〜14万円、1USD=155円換算)の拘束
- Remote: $0
5名採用になると話が変わる:
- Deel: $2,995〜$4,492(約46万〜70万円)が初月に拘束される
- Remote: やはり$0
70万円を初月に積んでおかないといけない、というのはキャッシュフローがタイトなスタートアップには地味にきつい。解約時には返ってくるお金ではあるが、「今現在使えないお金」として資金計画に影響が出る。
Deelのデポジットは契約解約時に返金される「預かり金」的な性質で、Deel側に没収されるわけではない。ただし契約期間中はDeelが保持するため、その期間は手元から出ていくお金として扱う必要がある。初期の資金繰りを重視するなら、この差は無視できない。
なお、EOR・CoR(Contractor of Record)・コントラクター管理の使い分けについては別記事でまとめている。
DeelのEORとContractor of Recordの違い——日本企業がどっちを使うべきか整理した
日本対応の実態——円払い・社会保険・日本語サポートの差
日本企業が使う場合、「日本での雇用に実際に対応しているか」という点が重要になる。両サービスとも日本対応はある。ただし、細かいところで違いがある。
Deelの日本対応(公式ブログ: employer-of-record-japan、2026-07-03取得):
- 日本でのEOR: あり(日本法人を通じた正式雇用)
- 円払い: あり(日本・国際銀行口座の両方に円建て給与支払いが可能)
- オンボーディング: 最短1営業日(標準5〜10営業日)
- 雇用形態: 無期雇用契約(CDI)が標準、試用期間は最大6ヶ月
- 日本語サポート: 公式ページに明記なし(専任オンボーディングマネージャーは付く)
- セットアップ費用: $0
Remoteの日本対応(公式Country Explorer - Japan、2026-07-03取得):
- 日本でのEOR: あり
- 円払い: あり(毎月末の営業日までに日本円で支払い)
- オンボーディング: 最短2.3日(標準約30日)
- 準拠法: 日本民法・労働基準法(1947年)
- 日本語サポート: 公式ページに明記なし(要確認)
気になるのは、両サービスとも「日本語サポートの有無」を公式に明記していない点。問い合わせフォームの言語対応・担当者の日本語対応レベルは、実際にデモを依頼してみないとわからないのが現状だ(執筆時点での調査では公式情報として確認できなかった)。
一点だけDeelが有利な部分を挙げると、Deel Japanの法人登記が公式ブログで確認できている。Remote側については、「自社エンティティのみ」を謳っているが日本の現地エンティティ(法人登記)があるかどうかは執筆時点で公式情報として確認できていない。現地法人があるかどうかは、コンプライアンスの厚みと緊急時のサポート対応に影響するため、導入前に直接確認することを推奨する。
Deel(ディール)EOR料金・仕組み解説 2026——フリーランスから企業雇用まで整理
Contractor管理——$49 vs $29の意味
フリーランス・コントラクターの管理料金:
| プラン | Deel | Remote |
|---|---|---|
| Contractor管理(ベーシック) | $49/月 | $29/月 |
| Contractor管理(プレミアム) | — | $99/月 |
| Contractor of Record | $325/月 | $325/月(同額) |
月$20の差は年$240(約3.7万円)。コントラクター10名なら年$2,400(約37万円)の差になる。コントラクターを大量に使っている会社にとって、この差は積み重なる。
RemoteのContractor Basic($29/月)とPlus($99/月)の機能差については、Plusに法的な書類管理の強化・リスク評価レポートなどが含まれる。どちらを選ぶかは実際の用途次第になる。
一方、Deel側のContractor管理は$49/月でありながら、コントラクター向けのAnytime Pay(月中いつでも給与の前払い可能)が使える。この機能はRemoteにはない。
あと、どちらのサービスでも日本のフリーランスがコントラクターとして登録する場合は無料。$49/$29を払うのはクライアント(発注側)だ。
対応国数の罠——「150ヵ国 vs 90ヵ国」が意味することと意味しないこと
よく引用される比較数字:
| 項目 | Deel | Remote |
|---|---|---|
| EOR対応国 | 150ヵ国以上 | 90ヵ国以上(自社Entity) |
| Contractor対応国 | 150ヵ国以上 | 180ヵ国以上 |
「Deelが60ヵ国多い」という読み方は正しいが、これだけで判断するのは早い。
Remoteの「90ヵ国以上」はすべて自社エンティティ(現地法人)を通じた対応。Deelの「150ヵ国以上」には、現地パートナー企業経由の対応も含まれている可能性がある。自社エンティティとパートナー経由では、コンプライアンスの一貫性やサポートの深さが同じとは限らない。
意外なのはContractor採用の対応国数で、RemoteのほうがDeelより広い(180 vs 150)。「EOR正社員雇用か、コントラクター契約か」という雇用形態によって、どちらのカバレッジが有利かが変わる。
欧米中心(米国・英国・EU主要国・カナダ・オーストラリア)での採用が主体なら、Remoteの90ヵ国でカバーできることがほとんどだ。東南アジア・アフリカ・中南米での採用を視野に入れているなら、Deelのカバレッジに実質的な意味がある。
インテグレーション——300以上 vs 50以上の現実
- Deel: 300以上のインテグレーション(BambooHR・Workday・Slack・QuickBooks・NetSuite等)
- Remote: 50以上のインテグレーション(HiBob・Gusto・Xeroなど主要ツールをカバー)
単純比較だと「Deelが圧倒的」に見えるが、実態はもう少し複雑。
Deelの300以上はHR・財務・コミュニケーション・採用ツールとジャンルが広い。既存の社内スタックがBambooHRやWorkdayで動いている企業にとって、この連携数の多さは実際に効いてくる。
Remoteの50以上は数こそ少ないが、主要ツールは抑えている。「300あっても自社で使うのは5〜10個」という中小企業なら、Remoteの50で十分なケースが多い。
あと、Capterra上のユーザー評価はDeelが4.9(4,291件)・Remoteが4.4(97件)で、レビュー数の差が大きい。評価数の多さはデプロイ実績と比例するため、サービスの実績という意味ではDeelが先行している。
2026年の進化——DeelとRemoteが向かっている方向
2026年上半期、両サービスとも重要な買収があった。これが将来の機能方向性を決める。
Deel(2026年5月: Sastrify買収)
ドイツ発のAI SaaS調達・管理プラットフォームであるSastrifyを買収。IT資産管理・SaaSライセンス最適化の機能が強化された。Deelが目指しているのは「HRだけじゃなくITコスト管理まで含む統合プラットフォーム」で、Ripplingが先行してきたHR+IT統合の領域への進出でもある。
事業規模の話をすると、DeelはARR $1B超(月収$100M突破)・評価額$17.3Bに達している。Remoteの3倍超の規模で、安定性・投資余力という点ではDeelが上。
Remote(2026年1月: Atlas買収、2026年4月: Bravas買収)
Atlasは経費管理・法人カードのプラットフォーム。買収により、従業員のコスト管理(給与・経費・出張費)を一元化する方向に進んでいる。2026年4月のBravas買収でグローバル雇用インフラをさらに強化。同年6月にはisolvedとの連携で200,000社の米国雇用主にRemote EORが即アクセス可能になった。
RemoteはARR $300M・キャッシュフロープラス転換を2026年5月に達成。財務的な安定は確保されている。
両社の方向性をまとめると: DeelはHR+IT統合・スケールで押す、RemoteはHR+経費管理の一体化で差別化を図る——という感じで、どちらも単純なEORプラットフォームから脱却しようとしている。
「真のコスト」試算——社会保険込みの年間総額
ここが既存の比較記事でまったく触れられていない部分。「EOR $599/月」というのはプラットフォーム料金だけで、日本での雇用にかかる実際のコストはこれだけじゃない。
日本でEOR雇用をする場合、雇用主(=DeelまたはRemote)は日本の社会保険料を負担する。雇用主負担率はDeel公式のデータ(2026年版)で以下の通り:
| 保険種別 | 雇用主負担率 |
|---|---|
| 健康保険 | 4.99% |
| 厚生年金保険 | 9.15% |
| 雇用保険 | 0.95% |
| 労災保険 | 0.30% |
| 育児休業給付金 | 0.36% |
| 介護保険(40歳以上の場合) | 0.80% |
| 合計 | 約16.55% |
出典: Deel公式ブログ「Employer of Record in Japan」(2026-07-03取得)
この社会保険料を含めた年間総コスト試算(月給35万円・年収420万円の日本人社員の場合):
| コスト項目 | Deel(年間契約) | Remote(年間契約) | Remote(月次契約) |
|---|---|---|---|
| プラットフォーム料金 | $7,188(約111万円) | $7,188(約111万円) | $8,388(約130万円) |
| 給与 | 420万円 | 420万円 | 420万円 |
| 社会保険料(雇用主負担・約16.55%) | 約69.5万円 | 約69.5万円 | 約69.5万円 |
| 年間総額(プラットフォーム+給与+社保) | 約601万円 | 約601万円 | 約620万円 |
※1USD=155円換算(執筆時点。為替変動注意)。Deelのデポジット(一時拘束分)は解約時返金のため上記総額には含めていない。
年間契約ならDeelもRemoteも年間総コストはほぼ同じ。月次契約のRemoteは年約19万円多くかかる計算になる。
「どちらが安いか」という問いへの答えとしては「年間契約ならほぼ同額。初期のデポジット拘束がある分、Remoteが有利」というのが実態に近い。
ちなみに、Deel公式の年間EOR費用概算(日本)は「約¥1,037,875/人/年」と記載されている。プラットフォーム料金と社会保険料の一部を合算した試算だが、給与水準によって変動するため参考値として見てほしい。
フリーランスが受け取り側として使う場合の比較
ここまでは「企業が海外人材を雇う」または「外資企業が日本人を正規雇用する」視点だった。少し視点を変えて、「日本のフリーランスが海外クライアントからDeelやRemoteを通じて報酬を受け取る」側の話もしておく。
既存の日本語比較記事でほぼ欠けている視点がこれで、「クライアントからDeel使ってって言われた」「Remoteのシステムに登録してと言われた」というフリーランスは実際に増えている。
| 項目 | Deel | Remote |
|---|---|---|
| フリーランス登録費用 | 無料(クライアントが$49/月負担) | 無料(クライアントが$29〜$99/月負担) |
| 出金方法 | Wise・PayPal・銀行振込・Coinbase等 | Wise・PayPal・銀行送金 |
| 最小出金額 | $100〜 | $50〜 |
| 日本円口座への直接送金 | あり | あり |
| W-8BENの提出フロー | プラットフォーム上でガイドあり | プラットフォーム上でガイドあり |
| Anytime Pay(早払い) | あり | なし |
受け取り側のフリーランスから見ると、登録手続きや出金方法はDeelもRemoteも大差ない。実際問題、「どちらを使うか」はクライアント側が決める話なので、自分で選択できる機会は少ない。
コスト面では、Deelを通じてWise口座に出金するルートが為替コストを最小化しやすい。詳しくは別記事でまとめている。
Deel・Wise・PayPal・銀行送金の比較——日本フリーランスの受け取りコスト完全整理
W-8BENの提出手順(米国源泉税の免除申告)については:
Deel W-8BEN税務ガイド——日本人フリーランスのための提出手順と注意点
こんな場合はDeel / こんな場合はRemote
ここまでの内容を整理する。
Deelを選ぶべき場合:
- 東南アジア・アフリカ・中南米など欧米以外でEOR採用をしたい(150ヵ国カバー)
- 既存スタックがBambooHR・Workday等でインテグレーション数を重視する
- コントラクターとEOR雇用を同じプラットフォームで並行管理したい
- 将来的にIT資産管理・SaaS調達最適化も統合したい(Sastrify機能)
- デポジットの資金拘束を許容できる
- Anytime Pay(月中早払い)が必要なコントラクターがいる
Remoteを選ぶべき場合:
- 初期費用(デポジット)を抑えてスモールスタートしたい
- 欧米中心の採用で、EOR90ヵ国で十分な対応が取れる
- コントラクター管理を$29/月で始めたい(Deelより$20安い)
- Global Payrollを$29/月という透明な料金で使いたい
- 経費管理・法人カード(Atlas機能)の統合を将来見据えている
- 月次契約でフレキシブルに動かしたい($699/月で対応)
どちらを選ぶかは「EOR対応国の広さが必要か」「初期デポジットの許容度がどこか」「コントラクター管理規模がどれくらいか」の3軸でほぼ決まる。
冒頭のCFOには「デポジットの余力があってアジア展開を考えているならDeel、欧米のみで始めるならRemoteでもほぼ同額で始められる」とアドバイスした。これが最短の判断軸だと思っている。
他社との比較が必要な場合はこちらも参考にしてほしい。
Deel vs Rippling——グローバル採用ツールを機能・料金・EOR対応で比較した【2026年版】
よくある質問
Q. DeelとRemoteのEOR料金は本当に同じ$599/月?
年間契約(12ヵ月コミット)の場合、両サービスとも$599/employee/月で同額です。違いが出るのは月次契約とデポジット。RemoteはEOR月次契約$699/月・デポジット不要。Deelは月次料金を公式に開示していない(要問い合わせ)・デポジット1〜1.5ヶ月分が必要。初期の資金拘束という点でRemoteが有利です。
Q. Deelのデポジットはいつ返ってくるか?
契約解約時に返金される「預かり金」的な性質で、没収されるわけではありません。ただし契約期間中は手元から出るお金として計画する必要があります。5名採用の場合、最大で$4,492(約70万円、1USD=155円換算)が初月に拘束される計算です。
Q. 日本のフリーランスがDeelやRemoteを使う場合、登録費用はかかるか?
コントラクター(フリーランス)として登録する側は無料です。プラットフォーム利用料(DeelならContractor管理$49/月、Remoteなら$29〜$99/月)はクライアント(依頼主)側が負担します。
Q. RemoteはEOR対応国が90ヵ国とDeelより少ないが、問題ないケースは?
欧米(米国・英国・EU主要国・カナダ・オーストラリア)での採用が中心であれば、Remoteの90ヵ国で十分なケースがほとんどです。さらにRemoteの90ヵ国はすべて自社エンティティ対応という点で、コンプライアンスの一貫性が高い。東南アジア・アフリカ・中南米への拡張を将来的に考えているなら、最初からDeelを選んでおく方が無難です。
Q. 日本人社員1名をEOR雇用した場合の年間総コストはどのくらいか?
月給35万円(年収420万円)の場合、プラットフォーム料金(Deel/Remote年間契約$7,188≒約111万円)+給与420万円+社会保険料(雇用主負担約16.55%≒約69.5万円)で、年間総額は約601万円程度です。「EOR $599/月」という表面の数字の約1.5倍になります。
Q. 2026年にDeelとRemoteで何が変わったか?
Deelは2026年5月にSastrifyを買収し、IT資産管理・SaaS調達最適化機能を追加。ARR $1B超・評価額$17.3Bを達成。Remoteは2026年1月にAtlas(経費管理・法人カード)、4月にBravasを買収。ARR $300M・キャッシュフロープラス転換を達成。両社とも単純なEORプラットフォームから「グローバル雇用+コスト管理の統合プラットフォーム」方向へ進んでいます。